今年もあっという間に折り返し、もうすぐ二十四節気の「大暑」を迎えます。
その前に7月19日から土用に入ります。今回は夏の土用です。
土用とは季節の境目。
夏から秋へと移り変わるその間に、自然界は一瞬、深呼吸をするように立ち止まります。
湿った空気と重い雲。自然のリズムに耳を澄ますと、
「急がなくていい。次の季節が来るまで粘り強く待とう」
そんなささやきが聴こえてくるかもしれません。
そしてこの土用の調整期間は、私たち人間の内側にも訪れます。
焦りや不安、思い通りに進まない感覚…。
夏の土用の期間、私たちは過去の選択を見直し、心身の調整を行いながら秋に向けて静かな力を養います。
そして今年、私はタロットの『11 正義』がテーマなのではないかと感じていました。たびたび登場したからだけでなく、剣と天秤を持つ女神の冷静な問いかけは、私自身にも響くものがあったからです。
数年前からタロットのリーディングで、何度も繰り返し出ていた【正義】と【吊るされた男】のカード。
今年は特に【正義】が私のテーマのように感じられました。
そして半年が過ぎ、ようやくその意味が心に落ちてきたのです。
ちょうど季節の移り変わりで訪れる土用のように、すべてを整理し、次の季節の準備をしているような感覚です。
タロット大アルカナの物語
タロットの大アルカナは、【0 愚者】から【21 世界】まで、魂の成長の旅を描く22枚のカードです。
一枚一枚が人生の通過点を表しており、物語のように順番に並べると、私たちの内側の成長の過程が見えてきます。
ここで簡単に大アルカナの流れをご紹介しましょう。
0~10番 外の世界を知る旅
- 0 愚者 …何も知らない無垢な存在。 無邪気に世界へ飛び出す
- 1 魔術師 … 現実を創造する力の目覚め
- 2 女教皇 … 内なる直感と神秘を学ぶ
- 3 女帝 … 豊かさと母性的な愛
- 4 皇帝 … 秩序と社会のルールを知る
- 5 法王 … 伝統・信仰・師との出会い
- 6 恋人 … 選択と心の結びつき
- 7 戦車 … 意志の力で前進する
- 8 力 … 内なる衝動の制御、勇気と調和
- 9 隠者 … ひとりで内面を見つめる旅
- 10 運命の輪 … 人生のサイクルを理解する
11~21番 内なる世界での変容
- 11 正義 … 人生の折り返し地点。過去の選択を見つめ、責任を持つ勇気を問われる
- 12 吊るされた男 … 能動性を手放し、すべてを受け入れる停滞の時間
- 13 死神 … 古い自分を脱ぎ捨てる変容
- 14 節制 … 内外のバランスを取り戻す調和の時間
- 15 悪魔 … 執着や恐れの克服
- 16 塔 … 予期せぬ変化。価値観の崩壊と再構築
- 17 星 … 希望の光
- 18 月 … 無意識の旅。幻想と不安を通過する
- 19 太陽 … 純粋な喜びと自己肯定
- 20 審判 … 目覚めと再生
- 21 世界 … すべての統合と完成
正義のカードが問いかけるもの
大アルカナの中心に立つ【正義】のカード。
彼女は静かにこう問いかけます。
「あなたは過去の選択を見つめ、責任を引き受けられますか?」
正義は「自分の行いが今の自分を形作っている」という洞察を促すカード。
ここでは、剣を握りしめて「私は私の人生に責任を持つ」と決意する必要があります。
なぜ正義の後に吊るされた男が来るのか
正義の問いに答えた後、次に現れるのは【吊るされた男】のカードです。
ここで私たちは、「もうできることはした」と剣を置き、流れに身を委ねることを学びます。
吊るされた男は、意識的に“吊るされる”ことを選んでいる。
それは犠牲や罰ではなく、世界の流れと一体になるための瞑想的な停滞なのです。
正義→吊るされた男は“剣から手放し”のプロセス
⚖️ 正義では、「私の選択を見つめ、責任を引き受ける」ことで人生の主導権を取り戻します。
けれどその後に訪れる🙃 吊るされた男は、真逆の境地。
ここでは「もうできることはした」と認め、剣を静かに置きます。
そして初めて、流れに身を委ねる受動的な受容が始まるのです。
- ⚖️ 正義=能動的な調整
- 🙃 吊るされた男=受動的な受容
正義が問うのは、
「あなたはどんな選択をしてきましたか?」
吊るされた男が問うのは、
「その選択の結果をすべて受け入れ、何もせずにいられますか?」
この対比こそが、魂の変容に不可欠な二段階。
ここで静かに世界と調和する時間を経て、
次の【13 死神】で古い自分を脱ぎ捨て、新しい自分へと進めるのです。
夏の土用と「信じて委ねる」
夏の土用は、季節が変わる前の「溜め」の時間。
この時期は、過去の選択を見直し、心身の調整をしながら次の季節の芽吹きに備える時です。
剣を置き、ただ呼吸し、流れに身を委ねること。
それが、秋に向けて静かな力を養うための土台になります。
ホ・オポノポノが教えてくれること
ホ・オポノポノでは「すべては記憶である」と言われます。
他者や状況を変えるのではなく、自分の内側の記憶をクリーニングすること。
「責任を持つこと」はすべての出来事を自分の内側に引き受けることであり、
「委ねること」はその後、世界の流れに信頼して任せることです。
責任と委ねることは矛盾していません。
最善を尽くした後に訪れるのが、人智を超えた大いなるものへの信頼。
結びに
今年、私に繰り返し現れた【正義】と【吊るされた男】。
その意味がようやくわかり始めた気がしています。
この夏の土用、大暑の前にこうして言葉にしておきたくなりました。
近々、二十四節気「大暑」のタロットリーディング記事も更新します。
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