― 寒さの極みで、時間に身を委ねる ―
大寒は、二十四節気の最後。
寒さが最も厳しくなる時期でありながら、
自然の中ではすでに春への準備が始まっています。
川は凍りつき、空気は張りつめているけれど、
地中ではふきの花が芽吹き、
にわとりは卵を温めはじめる。
「終わり」と「始まり」が、
同時に存在している不思議な季節です。
今年の大寒は、
1月17日から始まる冬の土用の中にあります。
土用とは、季節の切り替わりにあたる調整期間。
この時期は、
無理に動かず、
受け身で過ごすことが勧められています。
そんな大寒に引いたタロットは、
まさにこの季節の性質を映し出すような配置になりました。
今回使用したスプレッド
レイチェル・ポラック
「Dr.アポロのなんでもスプレッド」
- 知られしもの
- 知られざるもの
- 危うし
- 幸運よ
- アクション!
① 知られしもの
ワンドの5(正位置)
今、意識の表層では
方向性の定まらなさやカオスを感じているかもしれません。
ここはもう、自覚している混乱。
- 意見の食い違い
- 気持ちや優先順位のバラつき
- 内面でも外側でも「調整しきれていない状態」
ただし、ワンドの5は「破壊的な争い」ではありません。
むしろ 活性化しすぎたエネルギーがぶつかっている状態。
大寒という「極寒の節目」にこれが出るのは、
ここまでに積み上げてきたものが、
一度ごちゃっと表に出てきている
というサイン。
やりたいこと、考え、立場、感情。
それぞれがぶつかり合い、整理しきれない状態。
けれどこれは「悪い混乱」ではありません。
ワンドの5は、
エネルギーがまだ活発に動いている証。
大寒という「極点」に来たからこそ、
これまで積み上げてきたものが
一度、全部表に出てきているのです。
② 知られざるもの
ペンタクルの2(逆位置)
無意識の深いところでは、
もう器用に両立できないと気づいています。
- 両立しようとしていたこと
- バランスを取ろうとし続けてきた役割
- 「どっちも大事」と言い聞かせていた状態
逆位置なので、
本当はもう、器用に回せない
どちらかを選ばなければならない
という感覚が、深いところで芽生えています。
ここが今回の大きなポイントです。
仕事と生活、責任と自由、
「どちらも大切」と回し続けてきたジャグリングですが、
バランスを取ろうとするほど
かえって崩れてしまう。
冬の土用は「土を掘り返すな」と言われる時期。
現実(ペンタクル)を無理に動かそうとしないことが大切です。
③ 危うし
カップの8(逆位置)
通常のカップ8は「立ち去る」ですが、逆位置です。
これは、
- 離れたほうがいいと分かっているのに離れられない
- 情や慣れ、責任感で戻ってしまう
- 「ここまで来たのに」という思い
つまり、
本当はもう終わっている感情の場所に
居続けてしまうこと
が、今回の危うさ。
冬の土用らしい「粘着質の未練」。
同時に、ここで出た「危うし」は、
今はまだ立ち去る時ではないというサインでもあります。
なぜなら、今、自分の中の未練を見ないまま切断して立ち去ってしまうと、未練が暴走するからです。
つまり、こういうことです。
今ただちに立ち去ると未練が暴走する。でも、居続けると、感情は腐る。
カップの8・逆位置は、
・終わらせた方がいいと分かっているのに離れられない
・でも、強引に去ると後悔が残る
そんな揺れを表します。
大寒と土用の重なる今期は、
立ち去る準備をしなさい。でも、今すぐ去れとは言っていない、が核心のメッセージです。
時間を味方につけることが、
このカードが教えてくれる知恵です。
④ 幸運よ
ソードの7(正位置)
一見すると意外ですが、
今回の「幸運」は賢さのカード。
すべてを正直に話さなくていい。
全部を背負わなくていい。
真正面からぶつからなくていい。
ソードの7は、
抜け道を選ぶ知性を表します。
正義感や責任感だけで動かないことが、
結果的に自分を守る幸運になる。
今期は、
「少し引く」「距離を取る」
それも立派な選択です。
⑤ アクション!
ソードの8(逆位置)
最後のアクションに出たのは、
思考の檻からの解放。
縛っていたのは、
状況ではなく
「こうでなければならない」という考え方だった。
ソード8逆位置は、
- 思考の檻から出られる
- 「縛られていたのは自分の考えだった」と気づく
- 選択肢が実はあったと知る
行動としては、
「私はこうでなければならない」
という思い込みを一つ、ほどくこと
それだけで、景色が変わる。
ここで言うアクションは
すぐに動くことではありません。
・視野を広げる
・全体像を見る
・思い込みを一つ外す
それだけで十分。
ソードの8が逆位置で示しているのは、状況を変えられると気づくこと。
ただし今は冬の土用。
檻から出ると「決める」ことは大切でも、すぐに行動に移す必要はありません。
動かないことを自分に許す――それも、春へ向かうための大切な一歩です。
大寒のまとめ
この大寒は、
- 争いや混乱が表に出やすい
- 現実を無理に動かすと崩れやすい
- 決断を急ぐと後悔が残りやすい
そんな時間。
でも同時に、
- 時間を味方につける
- 賢く距離を取る
- 思考の縛りを緩める
ことで、
春への道筋はすでに整い始めています。
方向性を決めるのはいい。
でも、今は掘り返さなくていい。
大寒と冬の土用は、
**「急がないことを選ぶ勇気」**を
私たちに教えてくれる季節です。
静かに、
時間に身を委ねていきましょう。
補足コラム:土用という時間 ――「何もしない」とは違う
最近、「タイムパフォーマンス(タイパ)」という言葉をよく耳にします。
短い時間で、効率よく、成果を出すこと。
無駄な時間は省き、立ち止まらず、次へ進む。
確かに、忙しい現代では必要な考え方でもあります。
けれど、「土用」が示している時間は、
このタイパの思想とは、まったく別のところにあります。
土用は、季節の終わりです。
そして終わりとは、次の始まりの直前でもあります。
自然の世界では、
この時期に「何かを完成させよ」とは言われません。
むしろ、
掘り起こすな、動かすな、受け身でいなさい
と教えられます。
それは、怠けることでも、逃げることでもありません。
「動かない」という選択の重さ
今回の大寒のタロットリーディングでは、
最後にソードの8・逆位置が出ました。
ソードの8の逆位置は、
檻から出られる可能性、
思考の縛りから解放される視点を示します。
けれど、それは
「すぐに動け」という合図ではありません。
檻から出るとは、
まず決めることです。
けれど、
決めたからといって、
今すぐ現実を動かさなくてもいい。
土用の時間が教えているのは、
決断と行動は、同時でなくていいということです。
タイパの思想では、
決めたならすぐ動くのが正解になります。
動かない時間は「無駄」に見えてしまう。
でも、自然のリズムでは違います。
ペンタクルを無理に回さない
ペンタクルの2・逆位置は、
もうこれ以上ジャグリングを続けられない状態を示していました。
ここで大切なのは、
「今は動かなくていい」という言葉を、
変えなくていい理由にしないこと。
土用は、
無理をやめる時期であって、
問題をなかったことにする時期ではありません。
・もう回せない
・このやり方は続かない
・今のバランスは限界に来ている
その事実を、きちんと認識する。
その上で、
「今は掘り返さない」
「時期が来るまで動かさない」
これは逃げではなく、
時間を味方につける知恵です。
土用は「夢見る時間」
土用は、何もしない時間ではありません。
むしろ、次の季節を夢見る時間です。
土の中で、芽はもう春を知っています。
まだ地上に出なくても、
どんな花を咲かせるかは、すでに内側で形づくられています。
人も同じです。
今すぐ変えなくていい。
でも、
これからどう在りたいかは、
静かに思い描いていい。
焦らず、
無理に動かず、
それでも、目を閉じない。
タイパでは測れない時間が、
人生には確かに存在します。
土用とは、
成果のための時間ではなく、
未来の質を決めるための時間。
この静かな時間をどう過ごすかが、
次の季節の歩き方を、そっと決めているのだと思います。


コメント