小寒は、一年で最も寒さが厳しくなる時期の入口です。
日照時間は少しずつ伸びているのに、寒さはむしろ深まっていく。
二十四節気では、小寒の初日を「寒の入り」とし、
節分までの三十日間を「寒の内」と呼びます。
そして、こんな言葉があります。
「小寒の氷、大寒に解く」
一番寒いのは大寒ではなく、
実はこの小寒の時期だと言われているのです。
地上は凍てつく寒さの中にあっても、
七十二候ではこう続きます。
- 次候「水泉動(しみずあたたかをふくむ)」
- 末候「雉始めて鳴く(きじはじめてなく)」
地中では泉がぬるみ、
やがて雄の雉が鳴き、求愛が始まる。
表面は凍り、内側は動き始めている。
この自然のリズムそのものが、
今回のタロットリーディングと深く呼応していました。
小寒のタロットリーディング
(レイチェル・ポラック/Dr.アポロの何でもスプレッド)
- ソードの8(逆位置)
- ワンドの7(逆位置)
- ソードのナイト(逆位置)
- カップの7(逆位置)
- カップの2(正位置)
今回の流れを一言でいうと、
外で戦うステージを抜け、
誤作動していた思考と衝動を止め、
現実に戻ったところで“本物の関係性”が立ち上がる流れ
といえます。
凍っていたのは「状況」ではなく「思考」
これまでの節気では、
オラクルカードに「深い凍結」が何度も現れていました。
そのため、
「動いてはいけない」
「何かが止まっている」
そんな印象を持ちやすかったかもしれません。
けれど今回、最初に現れたのは
ソードの8・逆位置。
このカードは、
「檻から出る」
「縛られていた思考から自由になる」
という宣言です。
ソードの8は目隠しをされた女性が剣にとりかこまれている絵柄です。それが逆位置になると解放を表します。ただ、ソード8逆位置は「完全な自由」ではなく、
- 拘束が幻想だったと気づいた瞬間
- でも身体はまだ檻の感覚を覚えている段階
です。そのため、
「鳥籠から出たけど、世界がカオスに見える」段階ともいえます。
ずっと出ていたオラクルカード『深い凍結』と合わせると、ここで重要なのは、
👉 凍っていたのは状況ではなく、
思考の使い方だった
という点。
日本語の「凍結」はどうしても、
- 完全に止まる
- 動かなくなる
- 冷たく閉ざされる
という静止・停止のイメージが強いです。
でも、オラクルカードの
**Deep Freeze(ディープ・フリーズ)**が指しているのは、
実はそれとは少し違います。
それは、
「外から見える動きは止まっているが、
内部では次の変化の準備が進んでいる状態」
「凍結」とは、
すべてを止めることではなく、
外の動きを止めて、
内側の変化を守ること。
世界が凍っていたのではない。
可能性がなかったのでもない。
ただ、
「こうでなければならない」
「ここからは動けない」
という思考だけが、凍っていた。
それが、今、ほどけ始めています。
防御の癖と、勢いの危うさ
2枚目のワンドの7・逆位置は、
「そこまで構えなくていい」というカード。
自由になり始めた直後は、
人はつい過剰に防御したり、
逆に勢いで動きたくなったりします。
それを示すのが、
3枚目のソードのナイト・逆位置。
勢いよく進めば、落馬する。
正義感やスピード、鋭さを
今はまだ全面に出さなくていい。
小寒は、
まだ氷が厚い時期。
可能性を「選ぶ」段階へ
4枚目、カップの7・逆位置。
これは、
幻想から覚め、取捨選択を始めるカードです。
夢を見ることをやめる、という意味ではありません。
むしろ、
どの夢を、現実に連れて行くかを選ぶ
段階に入った、ということ。
可能性が多すぎる時代だからこそ、
選ばないことは、進まないことと同じになります。
そして、最後に現れた「カップの2」
ここで多くの人が戸惑います。
なぜこの流れで、
カップの2――恋愛のカードが出るのか。
レイチェル・ポラックは、このカードについてこう書いています。
この二人の様子は、あまりに厳粛で、
まるで儀式を遂行しているようにも見える。
それでもこのカードは、ほとんどの場合、恋愛を意味する。
新しい、真剣な恋愛である。
カップの2は、
軽やかなときめきのカードではありません。
これは、
「関係を結ぶことを引き受ける」カード
です。
上下でもなく、依存でもなく、
対等な位置で杯を掲げる。
ソードの8から出たばかりの人が
最初に結ぶべき関係は、
刺激的な情熱ではなく、
誠実で、静かな結びつき。
それは恋愛であると同時に、
世界への再参加でもあります。
孤立していた魂が、
もう一度この世界と関係を結び直す。
だからこのカードは、
恋愛であり、儀式なのです。
小寒という時間が教えてくれること
地上は凍てつき、
焦って動けば足を取られる。
けれど地中では、泉が動き始め、
やがて雉が鳴く。
今はまだ、走る時ではない。
けれど、閉じる時でもない。
静かに、誠実に、
関係を選び、結び始める時。
この小寒は、
凍っていた思考がほどけ、
世界と再び結ばれ始める節気
なのかもしれません。
もしこの文章を読んで、
「何かが静かに動いている気がする」と感じたなら。
それはきっと、
もう春に向かう準備が
始まっている証です。
補足コラム
カップの2と恋愛 ― 四元素で読む「関係の構造」
タロットで「恋愛」を表すカードとして、
もっとも有名なのは カップの2 でしょう。
一般的な占いでは、
「両想い」「恋の始まり」「ロマンチックな関係」
と説明されることが多いカードです。
けれど、このカードを 四元素(火・水・風・地) の構造で見ると、
少し違った輪郭が見えてきます。
🔥 火(ワンド) ― 惹かれる力
恋の始まりには、まず「火」があります。
- なぜか気になる
- 目で追ってしまう
- 一緒にいたいと思う
これは 感情ですらない衝動。
生理的で、生命的な「点火」です。
💧 水(カップ) ― 感情と共鳴
次に起こるのが、水。
- 好きという気持ち
- 共感
- 親密さ
- 心が動くこと
ここで多くの人が
「これが恋愛だ」と感じます。
日本語でいう「恋愛」は、
ほとんどが この水の領域 にあります。
🗡 風(ソード) ― 言葉と合意
しかし、タロットはここで終わりません。
関係が「続くもの」になるためには、
必ず 風(ソード) を通過します。
- 私たちはどういう関係なのか
- 何を大切にしているのか
- 何ができて、何ができないのか
- 境界はどこにあるのか
これは冷たさではありません。
理解と誠実さです。
実は──
ソードを通過できない恋愛は、長く続かない。
感情は美しいけれど、
言葉にできない関係は、
必ずどこかで歪みます。
🌱 地(ペンタクル) ― 現実と継続
そして最後に、
風を越えた関係だけが
「地」に降りてきます。
- 時間を共有できるか
- 生活のリズムが合うか
- 身体や現実を大切にできるか
ここで初めて、
恋愛は「人生の一部」になります。
家族になるかどうかは別として、
現実に根を下ろした関係です。
日本の恋愛が「あやふや」になりやすい理由
日本では、
恋愛を 言葉にすること(ソード) が
どこか避けられがちです。
- 察する
- 空気を読む
- 言わなくてもわかるはず
その結果、
火(惹かれ)と
水(感情)だけで関係が進み、
風が入らない。
すると、
- 勘違い
- 期待のズレ
- 無言の我慢
- いつのまにかの破綻
が起こりやすくなります。
これは個人の問題ではなく、
文化的な癖でもあります。
カップの2は「感情」だけのカードではない
レイチェル・ポラックが書いているように、
カップの2の二人は
「恋に浮かれている」ようには見えません。
むしろ、
儀式のように厳粛です。
それはこのカードが、
感情の交換ではなく、
「関係を結ぶ」という行為
を描いているから。
恋愛とは、
感情そのものではなく、
感情をどう扱うか
どう関係として結ぶか
という、
非常に知的で、誠実な営みでもあるのです。
小寒の流れと、カップの2
今回の小寒のリーディングでは、
- 思考の凍結がほどけ(ソード8逆)
- 防御の癖が残り(ワンド7逆)
- 衝動を急がず(ソードナイト逆)
- 幻想を整理し(カップ7逆)
- 最後に カップの2 が現れました
これは、
凍っていたのは状況ではなく、
関係を結ぶ力そのものだった
ということ。
檻から出たあと、
最初に現れるのが
「誰と、どう関係を結ぶか」。
それは恋愛かもしれないし、
創作かもしれないし、
人生との新しい契約かもしれません。
恋愛とは何か?
恋愛とは、
ただ感情が動くことではない。
惹かれ、感じ、語り合い、
現実に降ろしていくこと。
四元素すべてを通過する、
とても誠実なプロセスなのです。
おわりに
今日は1月3日。
お正月三ヶ日の最後の日であり、蟹座の満月です。
蟹座の満月は、
外へ向かう光ではなく、
「居場所」や「心の安全」に光を当てる満月。
家族のこと。
自分が戻ってくる場所。
無意識に抱えている感情。
そんなものが、
静かに浮かび上がってくるタイミングでもあります。
お正月は、うれしさと同時に、
どこか心がざわつきやすい時間でもあります。
非日常の中で、気を張ったり、
自分のペースが少し乱れたり。
そして小寒に入ると、
季節も、暮らしも、
少しずつ「平日」に戻っていきます。
今年のお正月休みは明日まで。
だからこのブログは、少し早めに書きました。
何かを決めるためではなく、
前に進むためでもなく、
ほんの少し、内側を静かにするきっかけとして。
この文章が、
あなたが自分の居場所に戻る
小さな助けになりますように。


コメント
いつも楽しみに読ませていただいています。
大切な気づきをありがとうございます!
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
コメントありがとうございます。
気づくのが遅くなってしまい、失礼しました。
いつも読んでいただき、とても嬉しいです。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。